『ジョシュ・ギディー:記録を更新したルーキー』Part 1:ドラフトの瞬間からOKCまで
Josh Giddey: Record-Breaking Rookie @NBA
スポンサーリンク

 

NBAは11月6日(日本時間7日)、オクラホマシティ・サンダーで今季2年目を迎えたジョシュ・ギディーのドキュメンタリーをNBA公式アプリで公開した。

ドキュメンタリーの題名は、“Josh Giddey: Record-Breaking Rookie”(ジョシュ・ギディー:記録を更新したルーキー)。

この夏、故郷のオーストラリアのメルボルンに戻った際に、ギディーが自身のNBAでのルーキーシーズンを振り返るとともに、2022-23シーズンの抱負を語った内容だ。

今季、その機能を一新したNBA公式アプリは、様々なイベントの舞台裏を含めた多くの映像をアプリ上で公開し始めている。しかし、残念ながら日本ではNBA公式アプリはダウンロードできず、それらの映像を見ることができないファンがほとんどだ。

そこでここでは、ギディーのドキュメンタリーの内容を何回かに分けて紹介していこうと思う。

第1弾の今回は、2021年7月のドラフトの瞬間からオクラホマシティにやってくるまでを、彼のコメントを中心にお届けする。

「ずっと夢見てきたことがが叶った」指名された瞬間

2021年7月29日に行われた2021年NBAドラフトの日の映像を見るギディーは言う。

「このシーンは何度も見ているけど、今でも見るたびに鳥肌が立つよ」

NBAのアダム・シルバー・コミッショナーのアナウンス:

「2021年NBAドラフト6位指名権で、オクラホマシティ・サンダーはオーストラリア・メルボルン出身でオーストラリア・キャンベラのNBAグローバルアカデミーからジョシュ・ギディーを指名しました」

それを聴きながらギディーの口元に笑みがこぼれる。

「オクラホマだったら最高に嬉しい」

そして、彼がどれだけサンダーに行きたいと思っていたかを話してくれた。

「僕はドラフト前にゴールデンステイト・ウォリアーズとオクラホマシティ・サンダーでワークアウトをしたんだけど、OKCとのワークアウトを終えてすぐに、頭の中では『どうか、お願いだから、僕を指名してくれ」と思っていた。サンダーは6位指名権を持っているのは知っていたけど、自分が6位で指名されるのは高すぎると思ってたんだ。

ドラフトに臨むにあたって情報はまったくなかったけど、その時点ではもう自分たちにどうにかできることじゃない。ただそこに座って、指名をしてくれた球団に行くしかない。どのチームになっても嬉しかったと思うけど、特にそれがオクラホマだったら最高に嬉しいと思っていたんだ。

それで最初の5人が指名されたんだけど、エージェントが僕の携帯電話の電源を切らせたからその先はわからなくなって。6位指名の90秒前にWoj(『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者)がツイートして、エージェントがそれを見たんだけど、それでも僕に普通に話し始めてきたから、その時点では『ああ、僕はオクラホマには行かないんだ…』って感じだった。それからアダム・シルバーが出てきて発表して、その時初めて知ったんだ。

あれが僕の人生が変わった時だろうね。あの舞台に立って、アダム・シルバーと握手して、あの帽子を被ることができるなんて、どんな子供でも夢見ることだよね。僕もステージに上がりながら、自分の長年の努力がようやく報われたんだなと思ったよ。ひとつの章が閉じて新しい章が始まったんだ」

「みんなが間違っていることを証明しなければ」眠れないドラフトの後

当時、サンダーがギディーを6位で指名したのはやり過ぎだという声が多かった。彼はまだ19歳で、弱点が多いという指摘もあったからだ。

「ドラフトの夜は人生で最高の夜になるはずなんだ。僕にとってはそうだった。でも、どこかで「多くの人が間違っていることを証明しなければ」とか「サンダーのこの指名は天才的だったと思ってもらえるようにしなければ」とも思っていた。どこに行ったとしても、『海外レベルでもギリギリの選手だ』っていう雑音がついてまわるのもわかっていた。 

午前2時頃ホテルに戻って、落ち着こうとしたけど眠れなくて、ポジティブなコメントを読もうと携帯でツイッターやインスタグラムを見たんだ。でも、僕が見たのは『6位はやり過ぎ』とか『彼は失敗に終わる』とか『なんでサンダーは彼を取ったんだ』とか、そんなコメントばかりだった。それが頭の中でぐるぐるして。

だから、『サンダーを落胆させるわけにはいかない。この人たちが言っていることが正しいだなんて思わせるわけにはいかない』って思ったんだ。そういうコメントを見るのはつらかったけど、でも同時に、多くの人が間違っていることを証明するための原動力になったよ」

「サンダーの一員になりたかった」オーストラリアからOKCへ

「みんなが間違っていることを証明しなければ」という強い決意を内に秘め、当時NBAで2番目に若い選手だった19歳のギディーは、母国のオーストラリアを離れた。

そして、自分を信じて6位で指名してくれたゼネラルマネージャーのサム・プレスティがいる再建中のオクラホマシティ・サンダーのホーム、オクラホマシティに向かう。

「サムはリーグで最高のGMの1人で、その彼が、僕なら彼のチームをさらに良くできると信じてくれた。それが本当に嬉しかったんだ。彼らのチームや、そこで築き上げているもの、そこでやっていることにワクワクしていて、僕もその一員になりたかったから、OKCに指名されて本当に嬉しかった」

 「僕は完璧な選手じゃない。でも自信がある」

プレシーズンゲームで先発を言い渡されたギディーは、自分が早くからコートに立てるようになったことをこう振り返る。

「出場時間が5分なのか、30分なのか、Gリーグでプレイするのか、一体どんなことになるのか、まったく予想がつかなかった。トレーニングキャンプに入って自分のプレイに自信を持って臨んだら、プレシーズンの初戦の前にコーチが僕を脇に呼んで、「お前は先発だ」と言ったんだ。それがシーズンのことなのか、その試合だけのことなのかはわからなかったけど。

自信があることが大きいと思う。完璧な選手なんていなくて、他人からとやかく言われるようなことは常にある。もちろん、僕も完璧な選手じゃない。でも、みんなが言っているような、『あいつは守れない』とか『あいつはシュートが打てない』とか『あいつはジャンプができない』とか、そういうことはすべて否定する自信があった。 

選手にはできないことが必ずある。でも、運動能力が一番高くなくてもいいし、最高のシューターである必要もない。試合でインパクトを与える方法さえ見つけられれば、コートに立つことができるんだ。そこにはかなり早い段階で気がついた。 アデレード(36ers:ギディーがプレイしたNBLのチーム)で培った自信がNBAで生きているんだ」

 


ギディーのOKC入りは、出場機会の多さや育成の環境という観点からも最適だという声はオーストラリア側からは上がっていたが、オクラホマシティをはじめとするアメリカのメディアやファンにとっては、一体彼にどこまで何ができるのか未知な部分が多かった。

そういう人たちに対して2021年ドラフトの全体6位指名がどれほどのものなのかを初披露する場所として、ギディー自身が誰よりも楽しみにしていたであろうその年のサマーリーグで、彼に不運が待ち受けているとは知る由もなかった。

 

 

 

 

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう

現地観戦したい人へ
おすすめの記事