【プレスティ会見】シェイ・ギルジャス・アレクサンダーの可能性を早期に見出した秘訣「発見のマインドセット」
サム・プレスティ(オクラホマシティ・サンダー)撮影©️YOKO B
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2023年9月27日(日本時間28日)、オクラホマシティにあるION(アイオン)と呼ばれるオクラホマシティ・サンダーの練習施設で、メディアデーを前にサム・プレスティGMのプレシーズン記者会見が行われた。

会見はOKC時間の午前10時に始まり、2時間近く続いた。これは昨年とほぼ同じだ。

プレスティGMの会見は長くなることが多い。

どんな時も、プレスティGMは会見の最初にオープニングスピーチをする。

そして、そのスピーチはメディアに対してだけでなく、その現場にいない関係者やファンに対してのメッセージでもある。

その後、記者からの質問に答えるのだが、質疑応答だけで90分近くを費やす割に、その質問数は必ずしも多くはないように感じる。

その理由は、プレスティGMがそれぞれの質問に対して、とても真摯に、とても丁寧に答えるからだと思う。

そして、その回答のなかには、ときに音楽や本、他のスポーツやミュージカルなどあらゆるエピソードが織り交ぜられる。

端的に結論だけを聞きたい人には長すぎてつらいかもしれないが、私はいつも彼の話に聞き入ってしまう。

プレスティGMが選ぶ言葉や表現のその奥深さと、彼の口から溢れ出るその豊富な知識につくづく感心しつつ、私は頭をフル回転させてなくてはならなくなる。

ついていけない話題、理解できない表現、馴染みのない単語に惑わされることのないように、彼が伝えようとするメッセージに耳を傾ける。

不思議なことに、その場でそのメッセージは沁みてくるのだが、改めて会見を聞くといろんなことが漏れていることがわかる。

ということで、今年はプレスティGMの言葉選びにできるだけ忠実に、その会見の内容をまとめていこうと思う。

 

発見のマインドセット:シェイの可能性を早期に見出した秘訣

背景

ここでは、プレスティGMがマーク・デイグノートHCに対する信頼度について話した際に、出てきた「発見のマインドセット」について少し補足していきたい。

 

「発見のマインドセット」は英語では “Discovery Mindset” で、補足するなら、すでにあるものをさらに観察して新たなものを見つけるという感じだと思う。

サンダーというチームや選手に対してあらゆることを試すと、違う側面が見えてきたり、意外な相乗効果があったりするが、そういうふうに、決めつけたり思い込んだりせずにオープンマインドで新たなことを見出し、学んでいこうという考え方だと私は理解している。

これは、上記のプレスティGMの回答の中の、マークHCは「喜んで新しいことに挑戦する」という部分にも関連していると思う。

たとえば、ラインナップをひたすら変えて「何か」を見出そうとすること。

ポジションに関係なく、選手に新たなことに挑戦させて「何か」を見出そうとすること。

ちょっと常識外れなくらいにいつまでもそれを繰り返して、メディアやファンから色々言われても、それでチームの成功のために発見できること学べることがあるのなら、と、それを貫く姿勢。

その点については、プレスティGMが会見のオープニングスピーチの中で触れていたので、今回はその部分を紹介しようと思う。

発見のマインドセットがあったから、シェイの可能性を早くから見出すことができ、フランチャイズを任せられる選手だと信じることができたというエピソードだ。

プレスティGMが大切にする「発見のマインドセット」のエピソード

この発言までのオープニングスピーチの流れ

サンダーは若く経験が浅いチームなので、後退や逆境から早く学習しなくてはいけない。しかし、試合における学習は、必ずしも第1章、第2章のように順番に起こるわけではない。そこで発見が大事になる。


プレスティGM:私たちは常にオープンであり続けなければならないし、すべての異なる選択肢に目を向けなければならない。

その一例を挙げよう。

数年前、うちにはクリス・ポール、デニス、シェイがいた。オーソドックスな方法論に従えば、ガードは2人は一緒にコートに立てるが、ガード3人を一緒にプレイさせることはできないと言われただろう。

その3人の中で誰が不利な役割を担うことになるかわかるかい?若い選手だ。若い選手(シェイ)が不利になるんだ。

でも、あの時に妥協して、「ポイントカードを3人同時にプレイするなんてできないし、誰もやったことがないから、君は自分の時が来るのを待つしかない」と言っていたらどうなっていたか考えてみてほしい。

やってみるしかないんだ。それが裏目に出て失敗する可能性もある。マークはハーフタイムに3分の1の確率でライナップを変えるが、毎回うまくいくとは限らない。

しかし、自分のコンフォートゾーンを広げ、こうしたことに挑戦する能力こそが、チーム内でさまざまなチャンスを見つける機会を与えてくれる。これまでもそうしてきたし、これからもそうしていかなければならない。

他の誰もやっていないのに、なぜそんなことをするんだと言われることもあるだろう。あるいは、それは努力していないことの表れだと見る人もいるだろう。でも現実に、私たちは前年より16勝多く勝った。

それは、私たちは努力していないということなのか。それとも、実際のところは、多少のリスクは受け入れながらいろいろなことを見つけて少し違ったやり方をしようとしているということなのか。そのうちのいくつかは裏目に出て失敗するだろうが、それは構わない。そうすることで、私たちは1つか2つ、何か見つけることができるんだ。

たとえば、(スリーガードのおかげで)シェイが多くの出場時間を得て、オフボールでダイナミックにプレイすることを覚え、得点力を磨くことができた。それが今、実を結んでいる。

あれをやったから、「さあ、君にボールを託すよ。君がフルタイムのポイントガードをするのは初めてだが、やってみようじゃないか」と自信を持って言えるんだ。

私たちは、シェイが100試合プレイした後にマックス契約を結んだ。私たちがそれで成功した経験はあまりないが、でも、あの時に普通とは少し違うことにトライしたからこそ、私たちにはもう彼の価値が十分わかっていたんだ。

私見:プレスティGMとマークHCの共通認識

プレスティGMの話を聞いていると、マークHCを本当に心の底から信頼していることが伝わる。

そして、マークHCの話を聞いていると、プレスティGMと同じ方向を向き、サンダーカルチャーを引き継いでいるのが伝わる。

2人はいつも同意見ではないかもしれないけれど、マークHCのやり方をプレスティGMは信じていて、失敗は学びのチャンスとして寛容に受け止めていることもわかる。

サンダーはまだ若い。経験も浅い。

思った以上に早く強いチームになる可能性はあるが、選手たちもチームもまだ成長の途中だ。

だからこそ、たくさん失敗してそこから学んで、さらに成長し進化していかなくてはならない。

それが、サンダーの育成に対する考えだ。

それは、選手やチームだけじゃなく、マークHCについても同じだといえる。

だから、プレスティGMは今のサンダーにマークHCが最適だと考えたのだと思うし、サンダーはまだしばらくたくさん失敗をする猶予が与えられていると思う。

今年もたくさんの失敗があり、あれこれ気を揉む可能性は高い。

でも、どんな発見があるのかは今だからこそ楽しめる特権なのかもしれない。

 

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