
NBAは11月6日(日本時間7日)、オクラホマシティ・サンダーで今季2年目を迎えたジョシュ・ギディードキュメンタリーをNBA公式アプリで公開した。
ドキュメンタリーの題名は、“Josh Giddey: Record-Breaking Rookie”(ジョシュ・ギディー:記録を更新したルーキー)。
この夏、故郷のオーストラリアのメルボルンに戻った際に、ギディーが自身のNBAでのルーキーシーズンを振り返るとともに、2022-23シーズンの抱負を語った内容だ。
第1弾では、2021年7月のドラフトの瞬間からオクラホマシティにやってくるまでをお届けした。
第2弾の今回は、2021年のラスベガスでのサマーリーグから、ギディーがパスで注目されるまでを見ていこう。
「なんでサンダーはギディーを取ったのか?」サマーリーグ後に再び沸いた声
2021年7月にラスベガスで行われたサマーリーグのサンダーの初戦の相手は、2021年ドラフト1位指名のケイド・カニングハム擁するデトロイト・ピストンズ。サンダーにとってはジェームズ・ハーデン(2009年ドラフト全体3位指名)以来最も上位の指名となったギディーと、カニングハムの対戦は周囲の注目を集めた。
試合開始まもなく、ギディーはチームメイトのスクリーンを使ってカニングハムをドライブでかわし、NBAサマーリーグデビューで両手でダンクを披露し、会場を沸かせる。ところが、その後のドライブ中にスリップして倒れ、立ち上がったものの痛みで顔を歪めて退場。
左足首の捻挫でそのまま試合に戻らなかったギディーは、わずか4分の出場でサマーリーグを終えた。
「開始4分で怪我をしてしまって、サマーリーグはもう試合に出られなかった。そしたら同じことを言われたんだ。『サンダーはなんでギディーを取ったんだ』とかあれこれ。
やっぱり見るのはつらかったけど、それだけ多くの人たちに自分を証明しなくちゃいけないと思ったら俄然やる気が出たよ」
「アドレナリンが出まくってすべてが速かった」シーズン開幕戦でのNBAデビュー
サマーリーグでのセットバックを乗り越えたギディーは、2021年10月20日のシーズン開幕戦で、同じオーストラリア出身のBoomerでメンターであるジョー・イングルス(当時ユタ・ジャズ)を相手に待望のNBAデビューを果たす。
イングルスは言う。
「数年前からもちろん彼の名前は少しは知っていたよ。僕がなんらかの形で彼の助けになれるかもと思ったのは、彼も僕と同じように17〜18歳のときにMBLと契約をしたって知っていたからで、それで彼の力になれたらと思って僕に質問できるように接点を作ったのが大きな理由だね。
そしたら、すごい質問攻めにあってうんざりするほどだったんだけど(笑)。でも、もちろん彼の力になることはやめなかったよ。代表チームで一緒だったしね。こっち(アメリカ)に来たら、とんでもない選手になりそうだと思っていたよ」
ギディーは、敵地ユタ州ソルトレイクシティのビビント・アリーナでのNBAデビューをこう振り返る。
「(開幕戦の前に)プレシーズンゲームが4試合あったけど、実際に満員のアリーナでプレイするのは全然違っていた。アドレナリンがたくさん出て、プレイしている間ずっとすべてが速くて焦っている感じだった。
それほど緊張はしてなかったけど、いろんな感情があふれていて、あの試合はとにかくアドレナリンが出まくっていてショットを決めることができなかった。 レイアップもフローターも失敗。とにかくすべてを急ぎすぎた」
「快適じゃないことに慣れなくちゃいけない」異なる国、異なる舞台でプレイするということ
19歳のギディーは、オーストラリアから、同じ英語を話す国でも文化が異なるアメリカに、なかでも小さな街のオクラホマシティにたった1人でやってきて、NBAという環境の変化以外にも様々なことに適用する必要があった。
「快適じゃないことに慣れなくちゃいけないんだ。地球の反対側にいること、友人や家族と離れていること。新しい文化や異なる生活様式に適応すること。そういうことに対処しなくちゃいけなかった。故郷が恋しかったよ。メルボルンのすべてが恋しくなった。
実質的には、飛行機とホテルとアリーナの往復の生活。それが大変なんだ。バスケットボールができて楽じゃないかって思うかもしれないけど、そのために多く犠牲も払っている。でも、結局のところ、僕らはこれでお金をもらえているってことを理解しなくちゃいけない。みんな、僕らのプレイを見るためにお金を払っているんだ。
それが理解できたら多少気持ちが楽になった。僕は何百万人もの子供たちがやりたいと願う仕事をやっているんだから。それで物事の全体を見るようになって、地球の反対側にいることに不満を言ってちゃいけないなと思うようになった。
今まさに自分の夢を叶えているし、OKCの組織も素晴らしくて、僕がそこでの生活に無理なく移行して落ち着けるようにサポートしてくれた。だから、もうそれほど悪い状況ではないんだ。向こうでは幸せに暮らしているし、(オクラホマシティの)街が大好きなんだ」
映像には含まれていないが、実はギディーにとってオクラホマは縁もゆかりもない場所ではないことをここで補足しておく。
彼がオクラホマシティにやってきた時、彼の姉のハンナがオクラホマ州のタルサにある大学に通っていた。オクラホマシティとタルサは車で30分ほどの距離で、ハンナはできる限り弟の試合を見に行っていたという。
そして今年、ハンナはオクラホマシティにある大学へと編入し、現在はジョシュと一緒に住んでいる。両親は今もオーストラリアにいるが、近くに姉がいることは心強いと今シーズンのメディアデーで話してくれた。
「僕にとっては特別じゃない」インバウンドパスの魔術師
NBAキャリアをスタートさせて1か月も経たないうちに、ギディーは魔術師のようにこの世のものとは思えないパスを繰り出してリーグの話題をさらうようになる。
2021年11月4日、アウェイのロサンゼルス・レイカーズ戦。右サイドにいたギディーが、左サイドの3Pラインで待っていたダリアス・ベイズリーにパスを出し、ベイズが3ポイントショットを沈めるシーンだ。
「僕にはそれほど特別なパスではなかったんだけど、外野が見るとかなり難しいパスだと思われるみたいだね。僕にとっては単なるコーナーへのクロスパスのようなもの。画面越しだとよく見えるんだよね。
でも、あの瞬間に『こいつはパスができるぞ』ってみんなにわかってもらえたと思う」
サンダーでプレイする19歳のギディーは、コート上での判断を任されていた。いつ、どのタイミングで、どうパスを出すのか。ルーキーのギディーにそれだけの裁量を与えることができたのは、再建中のサンダーだったからだとも言えるだろう。
そして、ここからギディーは新たな記録でリーグの注目を集めることになる。










