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引き続き、『オフの決断』シリーズです。

サンダーとの契約延長を決めたラスの決断がどれほど嬉しかったか、それが一番わかるのは、やはり、2016年8月4日を『ラッセル・ウェストブルックの日』としたことに表れていると私は思っています。

もしもラスが来年契約更新をしていたら、その日はラッセルの日にはならなかったでしょう。もしもKDがあの日に契約を更新していても、その日がケビン・デュラントの日になることはなかったでしょう。

あれは、KDの移籍でとことん傷付き、落胆し、絶望し、一体何を信じたらいいのかわからなくなるほどのどん底にいたオクラホマ民を、ラスが救ってくれたことが本当に嬉しかったからこその宣言なのです。

彼がオクラホマの状況を目の当たりにし、自分の決断がどういう意味を持つのか、その重さを理解した上で、決して楽ではない道を選んでくれたことに対する、オクラホマ民の感謝の気持ちの表れなのです。

ラスがフランチャイズプレイヤーとしてサンダーにずっといるかどうかは別として、あの日のあの決断は、オクラホマ民にとってそれだけの意味のあるものだったのです。

 

今回は、その嬉しいあの日のことについて、The Oklahomanの記者であるBerry Tramel氏が書いた記事を紹介します。いつもはちょっと斜に構えたような辛口な記事を書くTramel氏ですが、この記事ではオクラホマ民の想いがとてもシンプルに書かれています。

O HAPPY DAY: ラッセル・ウェストブルックが延長契約を結び、Mr. Thunderになった日

August 6, 2016 by Berry Tramel

契約延長を決断し、ファンに囲まれてブルーカーペットを歩くラス

満面の笑みを浮かべ、軽やかな足取りで、ラッセルウェストブルックは両脇を熱狂的なファンで囲まれたブルーカーペットを駆け抜けた。ファンの中にはオクラホマの灼熱のコンクリート上に1時間以上立って待っていた人も多い。

ウェストブルックは仮設ステージに飛び乗るとマイクを掴み、嬉しくて興奮しているサンダーファンの群衆に向かって、皆が一番聞きたかったことを伝えた。

「愛してるぜ、みんな!」
「みんなに一番最初に伝えたかったんだ」
「オクラホマシティが大好きだ。」

ウェストブルックは、チェサピークエナジーアリーナの玄関ホールから、ほんのフィートの所にいた。その空調の効いた涼しい場所で、サンダーに1人残されたスーパースターとして、契約延長発表祝賀会見が行われることになっていた。

しかし一番重要な意味を持つイベントはむしろ、炎天下の、会場の外の方だった。そこが戴冠式が執り行われた場所であり、その場所こそが、ウェストブルックがMr.Thunderになった場所なのだ。

 

その日の午後早く、(オクラホマシティの)ミック・コーネット市長は、2016年8月4日を『ラッセル・ウェストブルックの日』とすると公式に宣言した。彼の行動は遅いくらいだった。

炎天下にアリーナにいた1500人ほどのファンも、コートサイドに大金をつぎ込む浪費家のファンも、Loud City(アリーナ3Fの通称)の忠誠心のあるファンも、ひとつのバスケットボールチームを応援すると心に誓った数百万のオクラホマ民も、8月4日が忘れられない特別な日になると、その前から感じていたのだ。

 

そのひと月前、アメリカ最大の祝祭の日は、幻滅する結果に終わった。

7月4日の午前10時39分、ケビンデュラントは、果敢に戦わないことを選んだと世界に発表した。デュラントはゴールデンステートウォリアーズと契約すると世界に伝えた。

(7月4日の独立記念日に行われる)地元の街の祝賀パレードはどこか魅力を失い、チーズバーガーは味気なかった。花火すらどこか活気がなかった。

しかし8月4日にお祭り騒ぎは戻って来た。

オクラホマ民は、ウェストブルックとサンダーが契約延長について話し合いをしているというニュースを聞いて眠りにつき、オクラホマ民は、それが実現したという大見出しで目を覚ました。

パレードが再び始まる。グリルを点火して、花火に火をつけよう。(お祝いだ!)

「再始動だ」と、サンダーのチェアマンのクレイベネットは言った。

サンダーは、ウェストブルックとデュラントが、デュオでチームをまわしていた時のようなエネルギッシュなチームに直ぐにはなれないが、少なくとも後2年、ウェストブルックがロスターにいることが保証された今、立て直しにまわるチームでもない。

『誠実であること』

オクラホマ定番の、希望と楽観主義が戻って来た。

ダスト・ボウル(1930年代に米国中南部の大草原地帯で起きた砂塵嵐の被害)は10年続いた。石油不況は何年も続いている。

デュラントが引き起こした失望と落胆はたった一ヶ月で終わりを告げた。ウェストブルックの言葉だけではなく、彼の行動がすべてを一掃してくれた。

「オクラホマシティ以外にいたいと思う場所はありません。」

ウェストブルックは言った。

「19歳の時からここにいて、言ってしまえば皆さんが私を育てたようなものです。皆さんは私のためにいつも素晴らしいことをしてくれ、良い時も悪い時もいつも私をサポートしてくれました。本当に感謝しています。皆さんに対して誠実であることを示すチャンスがほしいと思っていました。」

オクラホマ民も、他の人たちとなんら変わりはない。私たちも耳に優しい甘い愛の言葉を聞くのが好きだ。

しかし私たちは、サンダーのもう一人のスーパースターで、きまぐれなウェストブルックよりももっと信じていた人から、同じような言葉を聞いたことがある。そして『星条旗よ永遠なれ』を聴いている最中に私たちの心は引き裂かれている。

言葉は安っぽいものだ。タフなレッスンだったが、私たちはしっかりと学んだ。

今では前より少しだけ信じやすくなくなっている。前より少し斜に構えている。言葉が意味することなんてたいしたことはない、と。

しかし、ウェストブルックは有言実行で、契約延長にサインをした。その結果、ウェストブルックは3年目をオプションとして、あと2シーズンをサンダーで過ごすことになった。

ウェストブルックとしては強行トレードに持ち込むこともできた。来季を静かにやり過ごして、来年の夏にFAになることもできた。しかし彼はどちらもしなかった。

彼はOKCにいたいと示したのだ。

それは永遠にずっと、という意味ではない。彼の残りのキャリアずっと、という意味でもない。

デュラントが私たちに教えてくれた。遠い未来を見すぎないように気をつけろと。

しかし今の時点では、ウェストブルックは自分が始めたことを終わらせたいと思っている。デュラントと共に達成することができなかったことにチャレンジしたいと思っている。負けるかもしれなくても、果敢に戦いたいと思っている。

 

デュラントがオクラホマシティからいなくなったから、ウェストブルックもいなくなるのではないか、という考えはもう消えた。

今思えば、ウェストブルックはリフトを探しているわけではなかったのだ。彼が探していたのはチャレンジだ。楽に下れる丘を探していたのではない。ウェストブルックが探していたのは登るための山なのだ。

 

7月4日以来、誰の手にもなかったトーチは、最終的に信頼できる手に渡った。

ウェストブルックはフランチャイズの唯一の顔となり、サンダーの礎石となり、オクラホマのアスリートの最大の象徴となる。

 

暗闇と悲哀から抜け出せずにいた市にも州にも、歓喜と信念が一気に戻った。

バネッサ・ウィリアムズの歌にあるように、時に自分が探しているそのものは、実は自分には見えていないものなのだ。

私たちは、デュラントがMr.Thunderだと思っていた。

蓋を開けてみれば、実は初めからずっとコミットしていたのは、ウェストブルックだった。

 

「今日という日は間違いなく、私にとってもファンにとっても市にとっても、素晴らしい瞬間です。」

ウェストブルックは言った。

「しかし私はまた、なぜ私がここまで来れたかもわかっています。それは、この組織やこのチームのために自分がしようとしていることに、毎日一貫して取り組むことです。それはつまり優勝することです。私にとって最も大事なことは勝つことです。私が頼りになる男であってもなくても、勝つ手段を見つけることが私の仕事です。」

 

間違いなく、今頼りになるのは、十中八九出ていくだろうと思っていた私たちの予想を裏切って、逆に残ると決めた男。

闘争心に溢れ、恐れを知らない勇敢な心を持った、熱く激しい男、ラッセル・ウェストブルックだ。

 

元記事:O HAPPY DAY: Russell Westbrook signs extension and becomes Mr. Thunder by Berry Tramel

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