サンダーの本拠地が変わる? 市民にとって悩ましいサンダーのホームアリーナ問題とは?
Paycom Center
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この夏、オクラホマシティ・サンダーのホームであるペイコム・センターではこれまでにない大きなリノベーションが行われている。

その一番の理由はアリーナの老朽化であり、そしてもうひとつはアリーナをNBAのスタンダードに維持するためだ。

しかし、このままひたすらリノベーションを繰り返しても、その基準を満たすことが難しくなる可能性が高くなっている。

今後、サンダーの本拠地はどうなるのか?

サンダーがオクラホマシティに存在し続けるためにはどうするべきなのか?

今回は、ペイコム・センターの老朽化に伴うサンダーのホームアリーナ問題についてまとめる。

市が抱えるサンダーのホームアリーナ問題とは?

はじめに:アリーナの老朽化がもたらしたチームの移転

NBAのチームがオクラホマ州のオクラホマシティにやってきて、オクラホマシティ・サンダーが誕生したのは今から15年前の2008年のこと。

サンダーの前身はワシントン州のシアトルに本拠地を置くシアトル・スーパーソニックスで、今でも移転に怒りを覚えてサンダーを嫌うスーパーソニックスファンもいるくらい、ちょっと色々あった移転だった。

すごく簡単に言ってしまえば、移転のきっかけは、老朽化したアリーナを建て替える費用に市民の税金を充てようとしたが、市民投票で「NO」が出て費用が捻出できなかったことだ。

もちろん、それが移転の背景のすべてではない。

たとえば、なぜ、移転先はオクラホマシティだったのか?

それは、移転の数年前に、スーパーソニックスのもともとのオーナーが収益と改築の問題を抱えてチームの売却を決意し、そのチームを買い取ったのが、オクラホマで育ち、オクラホマでビジネスを展開するクレイ・ベネット氏(今もサンダーのオーナー)を中心とするグループだったからだ。

ベネット氏らが約束を守らなかったうんぬんの細かなことはここでは触れないが、誰がオーナーであったとしても、移転の一番のきっかけは『アリーナの老朽化に伴う改築費用が確保できなかったこと』だということを覚えておいてほしい。

ペイコム・センターの根本的な問題

オクラホマシティ市長のDavid Holt(デイビット・ホルト)が以前語ったところによると、NBAのアリーナの平均築年数は21.5年。そして、ペイコム・センターは、2023年で築21年を迎えている。

どう考えても、ペイコム・センターは古い。

さらに、その収容人数(18203人)も、レストランやスイートBOXなどのアメニティーも、NBAレベルとしては最低限のレベルといっていいかもしれない。

それには理由がある。

ペイコム・センターのこれまでを振り返ってみよう。

ペイコム・センターの歴史

ペイコム・センター(当時は『フォード・センター』)は2002年にオープン。もともとはCHL(Central Hockey League)のオクラホマシティ・ブレイザーズの本拠地として使われていた。NBAやNHLの試合を開催できる最低限の規模のアリーナだったが、そのために建設されたものではないのだ。

そもそも建設当時に将来的にNBAチームを招致することを狙っていたのかさえあやしい。

ところが、2005年8月、ハリケーン・カトリーナの被害を受けてホームアリーナでプレイできなくなったニューオーリンズ・ホーネッツがOKCにやってくるという、まさかの事態が起きる。

2005-2006シーズン、ホーネッツは当時ルーキーだったクリス・ポールを連れてオクラホマシティのフォード・センターを暫定的なホームにすることになった。そして、チームは暫定的に『ニューオーリンズ/オクラホマシティ・ホーネッツ』と呼ばれ、2005年から2007年までの2シーズンを過ごす。

おそらく、本当にNBAとしてギリギリ最低限の施設だったのだろうと思う。と同時に、これを機に、オクラホマシティはいつかNBAチームを招致したいと考えるようになり、市は、オクラホマシティの都市開発計画 / MAPS(Metropolitan Area Projects)に2009年のアリーナのアップグレードの予算を組み込む準備をする。

ところが2006年、前述のクレイ・ベネット氏率いる投資家グループがスーパーソニックスを買収。その後、思いのほか早く(2007年のうちに)スーパーソニックスの移転が決まる。

そこで2008年3月、オクラホマシティ市議会はアリーナ改築と新チームの練習施設建設の予算捻出のために税金(消費税)を限定的にアップすることを提案。市民投票で可決される。

この市民の投票結果と、オクラホマシティにNBAチームの移転をリーグが許可した背景には、ホーネッツがオクラホマシティを暫定的にホームとした際の(収入面と観客動員数とファンの熱気すべてにおける)コミュニティの盛り上がりが大きく影響していることは間違いない。

ここまで20年余りで、アリーナの名称は『フォード・センター』に始まり、2010年に10月に命名権の交渉が頓挫して一時的に『オクラホマシティ・アリーナ』になり、2011年にチェサピーク・エナジーが命名権を購入して『チェサピーク・エナジー・アリーナ』になり、2020年にペイコムが命名権を購入して『ペイコム・センター』に変わっている。

なお、ペイコム・センターは市の所有物で、その運営はSMGという管理会社が行なっている。

サンダーのホームアリーナは今後どうなるのか?

サンダーは2022年、ペイコム・センターを本拠地とするという2023年までの契約を3年延長した。つまり、2025-26シーズンまではペイコム・センターがサンダーの本拠地ということになる。

しかし、2026年にはペイコム・センターは築24年。いくら、リノベーションを繰り返したところで限界がある。

前述のMAPSの中には、アリーナのアップグレードとしてすでに付いている予算もあるとは思うが、抜本的かつ大幅な改善にはならないだろう。

この件について、2022年に前述のホルト市長が、「新しいアリーナの建設の必要性」を公で初めて口にした。彼は、ペイコム・センターがNBAで最も規模の小さいアリーナであり、平均築年数を超えていることを考えれば、新アリーナ建設がサンダー存続の鍵だと話す。

一方、2022-23シーズンの終了会見で新アリーナ建設について訊かれたプレスティGMは、「それはホルト市長の仕事だから、その件については私は彼に委ねるよ」と答えている。

「その件について彼が公に話したのは知っているが、私がコメントすべきではないと思う」

「この街の将来について真剣に考えているからこそ、そういう発言をしたり行動をしたりするんだと思う。素晴らしいと思う。でも、この点については彼が話すことだ」

もちろん、新アリーナの建設は簡単なことではない。

候補地をどこにするのか、そのための予算をどう捻出するのか、さまざまな課題を乗り越える必要がある。

実際に建設が決定してからも完成までには時間がかかる。

完成するまでの間、老朽化するペイコム・センターで乗り切ることを前提に、いろいろと逆算して準備をしなければならない。

そして、最大の懸念は、市民の税金に頼ると予想される新アリーナ建設にかかる予算捻出に対して、オクラホマ民が「YES」というかどうかだ。

『アリーナの老朽化に伴う改築費用が確保できなかったこと』がきっかけで、スーパーソニックスがオクラホマシティに移転してから15年が経ち、オクラホマシティもまた、アリーナの老朽化による新アリーナ建設費用の確保で頭を抱えることになった。

オクラホマにはほかにメジャーリーグのチームがなく、サンダーも一時に比べると強くなってきてアリーナにファンが戻り始めたこと、そして何よりも、地元コミュニティとサンダーの絆の強さを考慮すれば、おそらくオクラホマシティと市民が同じ轍を踏むことはないとは思う。

しかし、すべてにおいて絶対はない。

もし万が一にもサンダーがいなくなったら、6月末にして40度まで気温の上がるオクラホマシティの生活に、個人的に耐えられるかどうか自信がない。

 

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