Keiの再挑戦〜もう一度サンダーガールに〜
2018-19 Thunder Girls Final Audition - Kei
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OKCからこんにちは。
YOKOです。

本格的にシーズンが始まる前に、この7月に再びサンダーガールズの一員となったKeiの話をしておこうと思います。放っておくとカクカク詐欺になっちゃいますからね。

これは完全に私目線で見た、Keiのサンダーガール再挑戦の話になるわけですが、彼女のことは当然メディアでも取り上げられているので、先にその記事をいくつか紹介しておきます。まだ読んでない人は是非読んでくださいね〜。

ちなみに、各メディアで使っていただいた写真は恥ずかしながら私の撮影でございました…。クレジットを付けてくれたKeiにはこの場を借りて改めて感謝します。ありがとうございます!

 

5年前のオーディションの模様はこちらから↓

Keiが再びサンダーガールに!〜全てはこうなる運命だった?

私がKeiに初めて会ったのは、彼女がサンダーガールになって一年目の2012年の冬のこと。出会いの場は、アリーナではなくOKCのブリックタウンのとあるスポーツバー。ちょうどその時、日本から観戦旅行に来ていた、オクラホマシティサンダー応援ブログの管理人のしゅう&あみと共にアウェイゲームを観ていた所に彼女がやってきた。

普段着のKeiは、NBAのチアリーダーという華やかな肩書きなしの、気さくで親しみやすく可愛らしい、良い意味で普通の女性で、とても好印象だったのを覚えている。

それ以降、アリーナで華麗に踊り、笑顔で地域に貢献するプロとしての彼女と、落ち込んだり悩んだりする普通の女性の彼女を、ほんの少し、知る機会が増えた。

おそらく彼女を知る誰もが彼女に惹かれるのは、外見以上にその内面の美しさであり、華やかさの裏に、実はとても真面目で努力家な一面があるからなんだろうと思う。

そんな真面目で努力家のKeiが、この夏、NBAのチアリーダーに再挑戦すると知った時、私はまた彼女をアリーナで見れると単純に喜んだ。オーディションを受けても合格する保証はないのに、彼女の想いや行動から、なぜなのかはわからないけれど、きっとうまくいくと思えたから。

オーディションで感じた予感

2018年7月21日の予選には100名がエントリーし、最終的に30人のファイナリストが選ばれた。

毎年、非公開で行われる予選は、結果が出るまで状況がわからずただ待つしかないのだけれど、SNSが発達した今では、ありがたいことにSNSで情報を追うことができる。

私もあちこちで、Keiらしき姿を見つけては喜んでいた。彼女がサンダーガールになると信じていた私は、ファイナリストに選ばれないわけがないと思っていたので、この日はとても穏やかな気持ちだった。

サンダー公式がKeiとJennieを映した時も、これは大丈夫でしょ、と、ちょっと思っていた。

Everything Happens For A Reason

2018年7月28日、最終オーディションのファイナリストは30人。ここから最終的に20人のサンダーガールズが選ばれることとなった。

OKCから車で30分程度の場所にある、リバーウィンドカジノ内にあるホールで開催される最終オーディションは、一般公開かつ無料なこともあって、毎年ファイナリストを応援する家族や友達をはじめ、多くの関係者やファンがたくさん詰め掛ける。

各応援団が気持ちを込めてこの日のために準備していたと思われる、候補者の名前入り、顔写真入りのボードなど、気合いの入った応援グッズがあちこちで見られた。

2018-19サンダーガールズオーディション会場入口
2018-19 Thunder Girls Final Audition

 

Keiから当日の写真撮影を頼まれていた私は、早めに現場に駆け付けて、ステージ向かって左側のセクションの最前列を確保した。ある程度まとまって座れるようにと、彼女のホストファミリーと一緒に2列分の場所取りをしたが、最終的に集まった彼女の応援団は、その2列には収まりきれないほどの数になった。

皆、Keiの再チャレンジに心踊り、彼女がOKCに戻って来ることを信じていたと思う。ほとんど面識のない人ばかりでも、こういう時は心がひとつになる。Keiという存在がいてこそ起こる、不思議なパワーだ。

Keiの番号は13番だと事前に聞いていた。それはまさに5年前のオーディションと同じ番号。そのことを聞いた時にも、”Everything happens for a reason(全て出来事には意味がある)”のフレーズが浮かんだ。きっと受かる。根拠はないけど、これはサインだと思った。

2018-19サンダーガールズオーディション会場
2018-19 Thunder Girls Final Audition 会場

 

オーディションは三部構成で進んだ。基本的な流れは5年前とほぼ変わらない。

最初はインタビュー。ドレスを着たファイナリストが1人ずつ、審査員からの質問に答える形式。

次にヒップホップジャズルーティーン。ステージ上で2人ずつ、規定のダンスを踊る。前半と後半のグループに分かれ、前半グループが先にインタビューとルーティーンまでを行い、その後に後半グループが登場する。

最後にフリースタイル。舞台袖から1人ずつ踊りながら登場。一定時間フリーで踊った後、次のダンサーが現れ、流れるように交代する。

 

まずはドレスでのインタビューが始まり、次第にKeiの出番が近づく。13番目に出てくるとわかっているので多少心の準備ができるものの、彼女がステージの真ん中に立った時には、見ているこっちも緊張した。

彼女に質問をしたのは、元上司でもあるサンダーガールズのマネジャーのPage Carterさんで、Keiとは信頼関係もできている相手。偶然か必然かはわからないけど、やはりこれも不思議な流れに思えた。

緊張気味のKeiに対し、語学面で既に他の候補者よりも不利なことも考慮してか、わかりやすくゆっくりとした英語で質問が投げかけられる。

「今の自分から、16歳の自分にメッセージを送るとしたら、なんと言いますか?」

それに、Keiが笑顔で答える。

「勇気を持って、失敗を恐れず、自分の情熱に従いなさい、と伝えたいです。」

まさに、今の彼女にぴったりの質問だと思った。彼女が今回のチャレンジで、子供たちに伝えたいメッセージでもある。これもサインだとまた思った。

サンダーガールズのオーディションで笑顔でインタビューに答えるKei
笑顔でインタビューに答えるKei

 

2つのダンス審査では、今回も彼女は素晴らしいダンスをした。アメリカ人のファイナリストたちが筋肉質の身体で力強い安定した踊りをするとしたら、日本人としても細身の彼女は、その指先まで美しく、軽やかな、そしてしなやかな踊りで魅せる。

その姿を見ながら、私は既に胸が熱くなっていた。彼女が本当に戻って来たことに。NBAという舞台にまた挑戦するために、それもまた、オクラホマシティ・サンダーのチアになるために、今このステージで踊っていることに。

笑顔で踊ることはチアリーダーの大事な要素のひとつだ。だからオーディションでも皆、笑顔を絶やさない。この時のKeiの笑顔から伝わってきたのは、彼女が本当に楽しんでいることだった。オーディションだろうが何だろうが、ダンスが大好きだ!と全身で伝えている気がした。

早くも目頭が熱くなるのを感じながら、全てを賭けて踊る彼女を、その情熱ごとフレームに収めたくて、ただ夢中でシャッターを切り続けた。

 

結果発表はドキドキの連続になった。5年前の時は、Keiはかなり早い段階で番号を呼ばれたのに、今回はちっとも呼ばれない。

選ばれるのが18人なのか20人なのか、実はこの時点でははっきりしなかったことも、余計に気持ちを焦らせた。人数はいつも20人とは限らないらしいのだ。

何人目まで選ばれたのかをひたすら数え、残りが少なくなるにつれて、次こそKeiが選ばれますようにと手を合わせ、ずっとずっと祈っていた。

違う番号が呼ばれる度、周りではため息が漏れた。選ばれないはずがないと、あの時Keiを応援する皆が思っていたと思う。と同時に、万が一選ばれなかったら、という一抹の不安が漂い始めていた。

だからやっと、”Number thirteen!”という声が響いた瞬間には安堵の混じった悲鳴が上がった。その直後のことは正直よく覚えていない。私のことだから、周りと喜びを分かち合いながら、号泣していたんだと思う。

泣きながらも私は冷静さを取り戻して、任務遂行のためにまたカメラを構え、きっと同じように安堵の気持ちと喜びとで胸いっぱいになっているだろうKeiの姿を追った。

そしてファインダー越しに、親友であり戦友であるジェニーと抱き合って喜ぶ彼女を見た時に、また涙が溢れた。

サンダーガールズに合格して抱き合って喜ぶKeiとJennie
合格を喜ぶKeiとJennie

意図することで全てが動き出す

今回のKeiのチャレンジは全てがどこか必然で、見事に彼女の復帰に向けて動いていたような気がしてならない。

2017年の秋に、彼女はこころのプロジェクトの活動で小学生の子供達に夢の話をしに行くようになった。その子供達から『なぜサンダーガールをやめちゃったの?もうやらないの?』と言われ、彼らのために、失敗を恐れず夢に向かう姿勢を見せようという気持ちになる。

そしてその後には、バスケットボール男子日本代表オフィシャルチアリーダーズ「AKATSUKI VENUS」編成の話が持ち上がる。Keiはそのオーディションを受け、見事合格。チームキャプテンになった。

プロとして本格的に人前で踊ることからしばらく離れていた彼女は、このふたつの出来事を通して、再びプロとして踊ることへのモチベーションを取り戻し、フィジカル面でも身体を作り、技術に磨きをかけるという準備をすることになる。

さらに、今年3月には、サンダーの10周年イベントの一環で、歴代のサンダーガールズが集まってハーフタイムにパフォーマンスをするという機会があり、彼女は再びOKCにやって来た。ほんの数日のことでも、再びチェサピークエナジーアリーナで踊り、懐かしい仲間と語り、彼女を今でも恋しがるファンからの愛を感じたことは、彼女の気持ちを後押ししたのではないだろうか。

またNBAで踊ってみようという気持ちだけでは、もしかしたら叶わなかったかもしれない。その気持ちにAKATSUKI VENUSでの活動が続き、さらに一夜限りでも実際にまたNBAの舞台で踊るというチャンスが続いた。全てお膳立てされた、宇宙からの計らいなんじゃないかと思えるほどの流れだ。

自分が何かをやるとクリアに意図した時、その後に大いなる力が働いて、全てがその方向に動いていくことがある。意図したことは、かかる時間やその道のりは違えど、現実化する。

まさに今回のKeiのチャレンジを見ていて、私はそう感じた。

Keiの再挑戦〜次のステージへ

4年前にサンダーガールズを辞めると決めた時、NBAでの経験を活かしつつ、次のステージで、新たなチャレンジをしていきたいと語っていたKei。20代後半だった彼女が、自分のキャリアを真剣に考え、出した結論だった。

はたから見れば、夢を叶えて華やかな世界で活躍する姿は羨望の対象だったかもしれないが、NBAのチアリーダーの処遇を考慮すれば、外国人としてサンダーガールズでい続けることがベストな選択なのか悩むのは当然のことだったと思う。

初期のサンダーガールズ時代は、きっとわからないことも多く、まず慣れること、そして自分の世界を広げること、全ての経験を吸収することに精一杯だっただろうと思う。2年なんて、そういう意味ではあっという間に過ぎていったのではないだろうか。

 

でも今回のチャレンジには、あの時とはまた違う、もっと大きな意味があるように思う。

自分の夢を叶えることが全てではないこと。

日本には、彼女がNBAのチアに再チャレンジし、その夢を叶えたことで、諦めないで自分も頑張ろうと勇気をもらった子供達がいる。そして改めて夢の舞台で踊る姿に夢と希望を見出す、若いダンサー達がいる。以前よりも確実にたくさんの、ちびっ子応援団がいる。

自分の夢を叶えることが全てではなく、自分のそのチャンレジが誰かの力になることを、彼女ははっきりと感じているだろう。それが、きっと彼女のメンタルをもっと強くすると思う。

彼女自身がより貢献度の高いサンダーガールズになれること。

過去のNBAのチアとしての経験と、その後の日本での活躍で、ひとまわりもふたまわりも成長した、今の彼女だからこそできることがたくさんあることだろう。4年前にできなかったことが、きっと余裕を持ってできるようになるのではないだろうか。

もう一度チャンスが巡ってきたこのシーズンは、ダンサーとして、そしてアンバサダーとして、彼女自身が納得のいく貢献ができるに違いない。

今後の彼女の人生にとって有意義なものになること。

私の知る今のKeiは、その気さくで可愛らしい性格はそのままに、凛とした大人の女性としての強さと視野の広さを身に付けたと思う。4年前に一度現役を引退した頃の、あのKeiとはその点で大きく印象が違う。

日本での経験が彼女をぐんと成長させたように、サンダーガールズとして新たな意図を持って臨むこの一年は、彼女の世界をさらに大きく広げていくことになるだろう。

 

彼女の本当の挑戦は、きっとまだ始まったばかりだ。

最後に

この記事を書いている今、Keiはビザ取得のために日本に一時帰国中です。そのビザ取得プロセスひとつをとっても、彼女の努力には頭が下がります。

彼女がまたサンダーガールになるのはきっと運命だったと思っているのは本当ですが、それはそこにしっかりと彼女の努力があってこそ。

外国人としてアメリカでチアとして活動することの裏に、どれだけの苦労があるのか。私が知るのもほんの一部分に過ぎません。

それを思うと、それでもまたサンダーガールズの一員になると決めた彼女を、どこまでも応援したいと心から思います。

 

Keiが、サンダーガールズとして復帰後初めてチェサピークエナジーアリーナで踊る日は、おそらく現地時間10月21日(日)のホーム開幕戦になると思われます。

これを読んでいるサンダーファン(もしくはNBAファン、あるいはKei個人のファン)の皆さんは、できたらその日に彼女の勇姿を見てください。そして、今シーズンの彼女を皆で応援していきましょう。

私も毎年恒例で、ホーム開幕戦はアリーナに行く予定です。そこで踊るKeiの姿を見れるかと思うと、今から待ち遠しくて仕方ありません。当日は、涙腺が崩壊することは、ほぼほぼ間違いないでしょう。

 

Kei(平田恵衣)プロフィール

◆主な活動経歴

千葉県出身。大学在学中からチアリーダーとして活動。2007年に会社員となって以降も活動を続け、千葉ロッテマリーンズ、IBM BigBlue、ジェフユナイテッド市原・千葉、東京ガールズで活動。2012年に渡米し、The Professional Basketball Club, LLCに入社。同年よりNBAのオクラホマシティサンダーのチアダンスチーム「サンダーガールズ」の一員として2シーズン活動。

2014年に現役を引退して帰国。公益財団法人日本スポーツ仲裁機構事務局に入局し各種事業に従事する傍ら、東北を中心にダンスを通じた被災地支援活動を行った。2016年にはアルビレックスチアリーダーズパフォーマンスアドバイザー(2018年7月よりディレクター)、福島ファイヤーボンズチアリーダーズディレクター(〜2018年6月)、福島県スポーツ推進審議会委員(〜2018年8月)に就任。

2017年9月より、JFAこころのプロジェクト及びスポーツこころのプロジェクトの活動を開始。2017年11月より、バスケットボール男子日本代表オフィシャルチアリーダーズ「AKATSUKI VENUS」の第一期キャプテンとして活動。2018年7月に渡米。4年ぶりに古巣サンダーガールズのオーディションに挑戦し合格。ホームゲームの他、地域イベント、チャリティ活動、NBAのグローバルイベント等に出演し、サンダーとコミュニティ、NBAと世界を橋渡しするアンバサダーの役割を担う。

KeiのTwitter @Kei_Hirata
KeiのInstagram @Kei_Hirata

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