OKCからこんにちは。
YOKOです。
今日は久しぶりに少しだけ雨が降り、夜は涼しくなりました。
特にゴロゴロと雷がなった記憶がない(くらいちょっとだけ天気が悪くなった程度だった)のですが、ルーキーのスティーブン・アダムスが、こんなことをつぶやきました。
OKC HAS THE LOUDEST THUNDER I’VE EVER HEARD!!! Way to live up to the name. #Zeus
— Steven Adams (@RealStevenAdams) September 12, 2013
「OKCの雷、今まで経験したことないくらいスゴイ轟音!名前負けしてない!」
それに対してすかさずロイス・ヤングが返します。
You ain’t seen (heard) nothing yet. RT @RealStevenAdams OKC HAS THE LOUDEST THUNDER I’VE EVER HEARD!!! Way to live up to the name. #Zeus
— Royce Young (@royceyoung) September 13, 2013
「まだ何もわかってないね。こんなもんじゃないんだよ。」って。
私をはじめ、きっとオクラホマの皆が思ったことだと思います。
この程度で、 “LOUDEST” とか言っちゃあいけないよ、アダムスくん。
本格的なサンダーシーズンは4月からだよ!
オクラホマが気象会の聖地として知られる理由
そんなわけで、今日はオクラホマの気候のお話をします(ちょっと長いです)。
いや、実は、アダムスくんがそんなことをつぶやいたから気候の話をしようと思ったんじゃないんですね。ちょっと前から気候の話は準備してたんですが、今日書こうと思ったきっかけは別のツイートでした。
それはサンダーファン友のえみさんのつぶやき。
日本時間の9月13日(金)の23:30から、日テレの『アナザースカイ』がオクラホマなのだけど、「気象界の聖地、オクラホマ」と紹介されているのはどういうこと?みたいな。
以下、日テレの番組表からの引用
石原良純が気象界の聖地へ!
アメリカの大自然オクラホマの大地で、気象予報・竜巻研究の権威、86歳現役日本人研究者と再会。
牧場の多いオクラホマ、日本の技術でおいしくなったという、最高のステーキをいただくはずが…驚きの展開!
災害の予想と告知と避難、自然と共に生きることの葛藤。気象予報の難しさを語る。
なぜ俳優・石原良純は気象予報士になったのか? 理由は父・慎太郎との思い出にあった!?
いやいや、オクラホマはサンダーファンの聖地のはずで、気象界の聖地じゃないよね・・・?
皆さんがそんな疑問を持つのもわかります。
オクラホマシティサンダーを通してオクラホマを知ったサンダーファンにとっては、オクラホマはサンダーファンにとっての聖地。
でもサンダーがオクラホマに来る前から、オクラホマは実は、気象界では有名な場所なんです。
オクラホマの気候をざっくりとご紹介
有名な理由を詳しく話す前に、簡単にオクラホマの気候について説明しておきましょう。
基本的には、オクラホマは温暖な気候とされます。
緯度も東京と同じくらいで、月別の平均最低気温と平均最高気温を比べても、東京とオクラホマシティとではそれほど違いません。
ここで大事なポイントは『基本的には』という一言です。
平均してみると、確かに数字上は温暖に見えるかもしれない。
でも、NBAでスタッツには表れない部分があるように、オクラホマの気候も数字だけでは語れないのです。
この地に最低でも年単位で暮らし、日々の天気を経験してみてわかることがあるのです。
そこで、私の経験に基づく個人的見解を付け加えて、四季を説明してみました。
- 夏は、暑くて長い。
東京よりも早い6月から暑くなり、その気温は東京よりも高い。最高気温の35℃超えは普通で、7月や8月には40℃前後になる日もある。残暑も厳しく、9月も最高気温が35℃になることがある。
※湿気がないからカラッとしてるでしょ?と聞かれるが、西海岸とは違って湿度は多少ある。 - 秋は、悲しいほど短い。
例年10月のどこかの2週間程度しか秋らしい(長袖一枚で出かける)天候を楽しめない。紅葉はするかしないかのうちに、突然零下の日が数日あって葉は枯れる。そして、その季節にしては気持ち悪いほど暖かい日と、クソ寒い日が交互にやってきて、身体も脳も混乱している間に本格的な冬がやってくる。
※NBAが始まる頃が一番過ごしやすい時期だが、10月後半、11月半ばには突如として寒波が来ることもあって、読めない。 - 冬は、風が冷たくて体感温度的に実際よりも寒い。
雪も降るが滅多に積もらない。代わりに凍る。とにかくよく凍る。寒さが厳しい日もあれば、やはり気持ち悪いほど暖かい日もある。やっぱり読めない。 - 春は、サンダーストームに雹(ひょう)に竜巻のシーズン。
待ちに待った過ごしやすいはずの春が、オクラホマでは一年で一番大変な季節。3月、4月頃から不安定な状態が続いてサンダーストームが頻繁に来る。雹が降る。竜巻も来る。不安定すぎて読めない。
雰囲気、わかってもらえたでしょうか…。
穏やかな日ももちろんあるんですよ。
毎日毎日、過酷なわけじゃないんです。
でもそれぞれの季節の中に、とてつもなく極端に過酷な天気の日がちょっとずつあり、その振り幅がハンパないのです。
オクラホマの特徴的な気象
気象会でオクラホマが有名なのは、一年で一番大変な春の気候のためです。
それは早ければ3月、通常は4月から6月(時には7月)の時期。
ちょうど、NBAのレギュラーシーズンが終了し、プレイオフを戦うまさにそのタイミング。
メキシコ湾からの暖かく湿った風と、カナダの寒帯大陸性気団からの冷たく乾燥した風がぶつかって、オクラホマに独特の気象条件が生じます。
その結果、激しい雷雨(サンダーストーム)と竜巻が発生するわけです。
サンダーストーム
激しい雷雨っていっても日本で経験する『雷雨』のイメージとはちょっと違って、すさまじいんです。
まず、暖かかった気温が急激に下がり、それまで普通に晴れていた空が、急にある方向から暗くなり始めると同時に、突然雷が鳴り響きます(ランブル登場ですね)。
それは昼夜を問わず、そして音も日本では聞いたことのないくらいの轟音です。
稲妻も光り方が尋常じゃなくて、夜寝ていても、窓の外のその一瞬の明るさと、その後のドーンッという音で目が覚めるのはよくあること。
そして、一気に雨が降り出します。
雹(ひょう)もよく降るんですが、ビー玉サイズは当たり前で、ゴルフボールくらいになる時も。
なので、この時期に雷が聞こえてきたら、車を屋根のあるところか、木の下か、とにかく雹を避けられるところに避難させないと、車がボッコボコになります。ボッコボコの車、結構見かけます。
もちろん、人も外に出ないようにします。下手すれば大怪我、生死に関わりますからね。
サンダーストームの後は、雹のせいで屋根に穴があいたり窓ガラスが割れたりした家に、応急措置としてブルーシートが使われているのを見かけます。
家の保険には雹のダメージもカバーするようにしておくことが大事です。
竜巻
そして、このサンダーストームと同時にやってくることが多いのが、竜巻。
雨がたくさん降っているほうが、逆に竜巻は発生しにくいようですが、とにかく不安定な気象条件になるので、何がどうなるかわからない。
竜巻は、オクラホマで年間平均50個くらい発生すると言われていて、その中には今年の5月20日のような、甚大な被害をもたらす巨大竜巻もあったりするわけです。
だから、このオクラホマ特有の気象条件の下、観測データを集めて雷雨や竜巻の予測をしようと、各種研究機関がここオクラホマに集結しているのです。
どんな機関があるかというと・・・(Wikipediaより)
ノーマン市のオクラホマ大学キャンパスに隣接してナショナル・ウェザー・センターがあり、地域のみならず全米の気象条件の研究を行う機関がある。
また急激な雷雨や竜巻などのSever Stormと呼ばれる気象条件の研究・予測を行うStorm Prediction Center、暴風雨研究所、警戒警報訓練所もここを本拠地としている。
これらはアメリカ国立気象局の下部組織である。
オクラホマの気象学の権威は日本人
オクラホマのサンダーストームと竜巻。
それは、日本にとっての地震のような位置づけと言ったらわかりやすいかもしれません。
日本で地震警報が流れるときのように、この時期、TVの片隅にはオクラホマ州の地図とともにサンダーストーム注意報/警報、竜巻注意報/警報が映され、どこで発生し、どこに向かっているかがわかるようになっています。
そして、危険な状態になれば、警報が鳴り響きます。
警報が鳴り響いてから、家を出て避難するのは遅すぎて危険ですが、とにかく家の中のできるだけ安全な場所に移動する必要があります。
命に関わることなので、きちんとした予測の下に警報が出ることが重要なのは言うまでもありません。
そして、その研究を長年オクラホマで続けているのがオクラホマ大学の佐々木嘉和名誉教授で、この分野の権威と言われている日本人です。
今夜の放送で、石原良純さんが再会するという日本人研究者は、おそらくこの佐々木名誉教授でしょう。
私も留学時代にお会いしたことがありますが、とても物腰の柔らかい、話しやすい方でした。
もし竜巻が来たら、バスタブの中に布団を持って逃げる
そして、「いざとなったら、バスタブの中に布団を持って逃げるように」と私に教えてくれたのは、ほかでもない佐々木教授でした。
佐々木教授によると、家の中ではバスルームが構造的に一番しっかりしていて、バスタブは頑丈なので、その中にいれば物が壊れて当たったとしても大丈夫、かつ、上から布団をかぶればなんとかしのげる、とのこと。
当時、竜巻のことなど何も知らなかった私でも、専門家が言うんだから間違いないと思い、その後色んな人にその話をしていたことを思い出します。
いつかプレイオフの時にオクラホマに来ようと思っているサンダーファンの皆さん、その頃の天気には本当に要注意ですよ。
万が一、竜巻警報が鳴ったときは、
「バスタブに入って布団をかぶる」
忘れないでくださいね。