12月17日(日本時間18日)、エミレーツNBAカップ決勝がラスベガスで行われ、ミルウォーキー・バックス対オクラホマシティ・サンダーが対戦した。
試合はヤニス・アデトクンボがトリプルダブルの活躍でチームを牽引し、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー率いるサンダーを抑えて優勝を果たしている。
ここでは、バックスのディフェンスによる勝利から見る5つのポイントをまとめたNBA.comのショーン・パウウェル記者の記事を翻訳して紹介する。
エミレーツNBAカップ決勝 バックス対サンダーで見えた5つのポイント
ミルウォーキー・バックスのシーズンがこの街で好転したのはおそらくピッタリなのだろう。なぜなら、シーズン序盤の不出来を考えると、こんな結果になるのはすごい確率だからだ。
ミルウォーキー・バックスが低迷から抜け出し、エミレーツNBAカップを獲得する確率はどれだけあったのだろうか。
バックスはこの優勝決定戦で、2勝8敗というシーズン開幕後の戦績を挽回しただけではない。彼らはウェスタン・カンファレンス現在首位のオクラホマシティ・サンダーを97-81で破ったのだ。それも、バックスの勝利は第3クォーターに入ってほぼ確実になっていた。
そして、勝利をものにした。アデトクンボがベンチに下がる残り90秒では「MVP」のコールも沸き起こった。バックスとヤニス・アデトクンボは、2021年のNBA優勝以来、最も楽しい瞬間を過ごしていた。
人々はバックスの運気が変わることを期待してラスベガスに足を運び、ミッションは達成した。バックスは東地区の3位に十分手が届きそうなところまで来ている。
ここでは、バックスのディフェンスが光ったNBAカップ優勝から見えた5つのポイントを紹介する。
1. サンダーはとどろかず
今季のバックスは、諸々の背景を考えれば、誰よりもベストなディフェンスゲームを展開したと言っても過言ではないかもしれない。
理由1: サンダーの得点が100点を切ったのは今季一度だけだった。
理由2:サンダーは絶好調で、12月は平均125点近くを記録していた。
理由3:サンダーのスター選手であるシェイ・ギルジャス・アレクサンダーは、1試合平均30.3得点でリーグ3番目のスコアラーとしてベガスにやってきた。
しかし、どれも問題にならなかった。
サンダーは3ポイントショットを決めることができず、32本中27本を外した。サンダーがより近い距離から打とうとすると、アデトクンボをはじめとするサイズ的にかなり有利なバックスのディフェンスが待ち構えていた。
サンダーは、得点、フィールドゴール成功率、3P成功数、アシスト数でシーズン最低を記録。11月19日以来2度目の敗戦を喫している。
サンダーはディフェンシブレーティング1位でこの試合に臨んだが、バックスに完膚なきまでに叩きのめされた。
「ある選手は、相手チームのディフェンスのことばかり聞かされたと言っていた」と、バックスのドック・リバースHCは話す。
「それがみんなを嫌な気持ちにさせたんだと思う。サンダーの得点を低く抑えようと躍起になっていたよ」
決定的だったのは第3Qに十分にリードしている状態で、ヤニスが自分の身体を張ってルーズボールを取りに行った場面だ。バックスはそうして活気づき、サンダーを後半31点に抑えたのだ。
「僕らはお互いを見捨てなかったんだ」と、バックスのガードのデイミアン・リラードは言う。
「僕らは助け合った。スペーシングも良かった。攻めるべきときに攻めた。シーズン中、僕らには緩みがあったけれど、今夜は集中力を保てたんだ」
2. アデトクンポとリラードの躍進
デュオとしての初めてシーズンだった昨シーズンは、この壮大な実験は成功とは言い難かった。そして今シーズンは開幕から驚くほど効果が出せずにいた。
こうして、11月に向けてひとつの疑問が霧のように立ち込めていた。このトップクラスのスター2人は共存できるのか?それも手遅れになる前に。
NBAカップを終えて、物事は順調に進展しているようだ。
2人のケミストリーは以前より冴えている。大会MVPのアデトクンボは26得点でトリプルダブルを達成し、リラードは3Pを10本中5本成功させて23得点をマーク。彼らは息が合っていて、信頼関係はより深く、より強固なものになっている。
「僕ら2人ともハイレベルな選手だったから、僕とヤニスを一緒のチームにすればすぐに完璧にフィットするとみんな思ったんだと思う」と、リラードは話す。
「でも、以前の僕は常にボールを持っている状況だったし、彼も10年間ボールを持って一定のプレイをしてきたんだ。ただ時間がかかっただけだよ」
「僕は彼がチームメイトなのは贅沢だとわかっているし、彼も僕がチームメイトなのは贅沢だとわかっている。だから今夜のような勝負のかかった試合で、その信頼関係が強くなったんだ」
3. ほぼ沈黙だったギルジャス・アレクサンダー
NBAのMVP候補にとっては不本意な夜となった。ギルジャス・アレクサンダーはバックスを苦しめることもなく、リズムに乗ることもなく、試合を彼とアデトクンボの勝負に持ち込むこともなかった。
1人は際立ち、もう1人は目立つことなく終わった。
最も賢いスコアラーのひとりであるギルジャス・アレクサンダーを抑え込めるチームはそう多くない。にもかかわらず、ギルジャス・アレクサンダーは21得点をあげるのに24本のショットを打たなければならなかった。25得点に達しなかったのは彼にとって15試合ぶりだ。
「自分の得意なスポットで打つことはできた。ただ何も決められなかったんだ」と、ギルジャス・アレクサンダーは言う。
「そういう夜もあるよ」
バックスの計画は、複数の選手でシェイの行く手を塞ぎ、タフなショットを打たせることだった。
数か月後にチェット・ホルムグレンがケガから復帰し、サンダーにスコアラーがもう1人加われば、サンダーはこのタイプのゲームに耐えられるかもしれない。
この決勝戦ではそうはいかなかったが。
4. いよいよバックスは強豪の仲間入り
大勝すると反射的にそれが自動的に来週以降に持ち越されると仮定してしまうことがある。
それらはしばしば現実離れしており、誤ったものであることが証明されている。とはいえ、今回は真実味を帯びているかもしれない。特に、バックスがシーズン開始2週間で優勝候補から外れたと信じていた人なら。
「シーズン開幕時のチームは今のチームとは違う」と、リラードは言う。
「あれは本来のチームじゃなかったんだ」
そう、バックスがあっという間に東地区最下位に沈んだのには事情があった。ケガもそのひとつだ。それでも、このチームは出だしからずさんでバラバラに見えた。それは否定できない。
そして今、このカップ優勝の影響はどれほどのものだろうか。
「自分たちはどんな相手にも勝てるということを思い出させてくれた」と、バックスのドック・リバースHCは話す。
「正しいプレイをしなければ、誰にでも負ける可能性もある。我々は早々にそのことを学んだんだ」
5. バックスの前途は洋々
バックスにとってはさらに良いニュースがある。彼らの今後のスケジュールは楽で、クリス・ミドルトンもおそらく元気になるだろう。
「最高のチームと戦うために必要なものは持っている」と、アデトクンボは言う。
「僕らは謙虚でいなければならないんだ。最初の10試合はNBAで最悪のディフェンスチームだったけど、今はトップ10だ。僕らは良くなっている」。
ミドルトンは17日の決勝戦を新型コロナウイルス以外の病気で欠場。オフシーズンの足首手術後は4試合しかプレイしていない。予定通りであれば、元旦までに出場時間制限が解除されるはずだ。
はかつてのようなディフェンダーではないが、まだ得点を稼ぐことができる。得点でアデトクンボとリラードに頼るチームを救うことだろう。
戻ってきてもミドルトンが火中に放り込まれるわけではない。バックスは、12月20日のクリーブランド・キャバリアーズ戦の後の9試合で勝率5割以下のチームと対戦するのだ。バックスはそういうチームを破ってシーズンの流れを変えてきた。NBAカップ決勝戦以前で最も印象的な勝利は、11月18日のヒューストン・ロケッツ戦(1点差)だった。
とはいえ、 6月の優勝争いとは異なり、12月の優勝争いではプレッシャーから一時的に解放され、束の間の休息を味わえる。
リバースHCは言う。
「これが終わったら、また厳しい戦いに戻るんだ」
原文:Bucks-Thunder: 5 takeaways from Emirates NBA Cup Championship by Shaun Powell